私がこの電車で母の実家を何度往復したことだろう。去るゴールデンウィーク、本当に最後なるであろう５８３系を使用した、「はくつる81号」に乗ることにした。
一番古い記憶はわたしが５、６歳の頃。いつも下段の屋根が低い車両に乗り、上野から１時間ほど車窓を眺め、起きた頃には一面の銀世界。そして青森に着いたときはまだまわりは真っ暗で（たぶんそのときの列車は青森に５時ごろ着いていた「ゆうづる１号」だったと思う）
津軽線に乗り継ぐため青函連絡船の待合室で待とうと祖父に手を引かれてふと振り返るとあのおっきいやさしい色をした車体が僕の脳裏に強烈に焼きついている。以降、ほんとうに何往復と往復した。
そして、一番最後に乗ったのは約５年前。祖父が他界し、告別式に間に合うようにとは言われていたのだけれど、その前に荼毘に付すという話。あわてて時間をチェックして、２３時に上野を出る夜行を確認。そのとき「ゆうづる３号」と勘違いしていた。
しかし慌てすぎたのか、自転車で駅へ向かった際途中で転倒。たいしたケガではなかったが、上野には間に合わない・・・。なくなく何とか駅までたどり着いて、わらにもすがるおもいでじこくをかくにんすると。。なんと「ゆうづる３号」が「はくつる３号」になって大宮まわりになっていた。。。なんとかまにあう！！
すぐ上段の寝台券を取り、大宮へ。大宮で時間があったのでもうすこし安心して寝れる中段か下段はないのか確認したところ、祖父が気を利かせてくれたのだろうか、なんとパンタしたの中段を取ることが出来た。そして、祖父との思い出をかみしめながら「はくつる３号」に乗ることが出来たのだ。ほんとうに最後の最後で祖父の顔を見ることが出来たことを一生忘れないであろう。。
ひさしぶりにみた５８３はさすがに疲れていた。さみしいものである。ぼろぼろになりながら、青森へ疾走する。。
この会社は本当に乗せる人のことを考えているのであろうか。。。しかし、実際乗車するとなつかしい、音。そして振動であった。この音とゆれをどのぐらいの人がきき、感じたのであろうか。
しかし、時は移り時代も代わる。リアルタイムで情報は得られる。すぐに目的地には着き、移動するのもお金がかからなくなってきた時代。その日、ほとんど鉄道に興味のある人しか乗っていなかった５８３系はさすがに役割を終えたのかな。。と実感するほかなかった。。
しかし、まだ定期列車で頑張っている車両もいる。なんとか、役割を果たし終えるまで頑張って欲しいものだ。７時２分前。青森到着。さいごまでその９両は全力疾走した。
３０分ほど疲れた体を休めるように青森駅１番ホームに横たえた５８３系９両はさいごまで名残惜しんでいた２０名程度の鉄道ファンに感謝するように代わらない「汽笛一声」をのこし、ゆっくりと青森駅を後にした。