札幌から京都まで新婚旅行で乗車いたしました。本来ならば半年前に乗車予定でしたが、その時には諸般の事情で旅行自体を取りやめにすることになったのです。リベンジで挑んだ朝10時・・・結果は惨敗。以前に取れたチケットがロイヤルでしたので、行けなかった悔いが残ったせい？欲望にまみれた私の願いは届かなかったのか！？泣く泣く取れる分のチケットを抑えて失意のまま帰り、呆然としたまま入っていた留守電のスイッチを入れました。「スイートでご用意できました」。手配を頼んでいた旅行社からの報告。腰が抜けました。声も何も出ません。ただ、笑うのみ。その笑顔がにやけっぱなしだったのは否定できませんが。人間、予想外の自体が起きると何もできなくなります。ずっと笑ってました。
ともあれ当日。新婚旅行をしめくくる最後の一日。わくわくと二号車スイートへ。第一声は「うわぁ、広い！」部屋の広さ自体は、きっと一号車のスイートにかなわないでしょう。しかし、話に聞く窓の大きさにはびっくりです。早速荷物を適当に置いて写真を取りまくる私ら夫婦。「かっこいい、かっこいい」とまるで子供。その間に食堂車の方がいらっしゃって夕食や翌日の朝食の用意、ウェルカムドリンクの説明を頂きました。続いて検札。「スイートの乗車は初めてですか？」「はい！」「そうですか。私乗ったことないんですよ」そんなの言われてもどう返していいものやら。お茶目な方のようでした。
ひととおり写真をとり終わって満足した頃には、列車は札幌を出ていました。窓から見える風景は実に多彩。夕食前にサロンカーにも行ったのですが、そこの窓とほぼ同じくらいの大きさではないかと思われます。これを個室で２人じめなんて、なんて贅沢。時折金額が頭によぎりましたが・・・必死で俗な思考を追い出して風景を楽しみます。ノックされてドアを開けると、車内販売のお姉さん。にこやかな笑顔につい気をよくしてスポーツタオルとキャンディ缶を購入。お姉さんを見送った後、ふとお財布の中身を見て考えました。会社などに持っていくお土産は北海道ですでに買いましたが、折角の新婚旅行で「２人の記念」になる買い物をしていなかったのです。いま再び先程の商品詳細を思い出し、さっそく夫に提案。ちょうど我が家に「それ」がなかったことも思いきりをよくしました。「それ」、すなわち
「トワイライトエクスプレス限定コーピーカップ５客セット」!
そしてかねてから欲しかった「バスローブ」も一緒に。部屋についているスリッパも持ち帰り可能なようなので、２つそろえたら家に帰ってもなんだかちょっとリッチな気分になれそうです。あとで食堂車で注文しましょう。車内放送の説明を聞きつつ、夕食時間が近づいてきたので食堂車へ移動。
・・・ええと。お料理はとてもとても美味しかったです。ただ、一部のお客様のマナーが少し。お子様を連れてきてもいいのですが、せめてもう少し大人しく出来るように(そして保護者も可愛がってばかりいずに毅然と注意できるように!)なってからがいいと思います。急に速度を落としたりして車内が揺れたとき、持ってるフォークとかのど元に刺さらないか見てるほうが落ち着きません。あとシモネタを嬉々として連呼するところとか・・・子供のすることだと分かってはいるのですが。そんなミニマムなお客様にも笑顔で優しく対応する乗務員の皆さん、いい人です。(あとで考えてみれば、こまめに声だけでもかけて構うことでやんちゃなレディはその間だけでも大人しくなっていました。ちゃんと考えていらっしゃるのですね)
よく皆さんが書かれている「サロンカーでの青函トンネル説明」ですが、ちょうど夕食の時間とかぶっていたので諦めていました。ですが、食堂車でも丁寧にトンネル内の説明を要所要所でしていただきました。後で説明していた食堂者の男性に他のお客様が「なぜ仕事しながらトンネルの紹介が出来るのか」尋ねているのを耳にはさみましたが、外を見ている余裕はないので聞こえてくる音で判別して要所に来るたびに的確な説明が出来るようになっているそうです。プロのお仕事ですね。(３５０円と有料ですが)サービスでポラロイドを記念に撮って頂きました。帰り際にレジにて、車体番号と日付が書かれたメニューに出来上がった写真が貼られて渡されました。
人が少なくなるのを待って再び食堂車へ行き、コーヒーカップセットとバスローブを注文。ひとまずバスローブだけを持ち帰ります。サービスで袋もつけていただきました。袋は、ダークグリーンの時に金でトワイライトのロゴが打たれているデザイン。カップセットは直接仕入先から我が家に届けられるからとのことで、送り状も記入します。注文者と送り先、それぞれ別の記入欄がありましたので旅先からのサプライズプレゼントにも使えそうです、これ。だいたい届くには一週間から二週間かかるとの話でした。
夜もふけて、窓から見える夜景も真っ暗に近くなりました。シャワーを浴びて、就寝。他の車両と違いホテルのようなベッドなのですが、上にかかっているのは布団ではなく毛布。さすがにこれはどこも一緒かなあとシーツを一枚はいだところ、毛布は毛布でも名前の通った某ブランドの毛布でした。こんなところにひっそりとですが違いがあったんですね。
あらかじめ飲んでいた酔い止め薬のおかげで泥のように眠りに落ちました。・・・が。深夜、ベッドからころげ落ちそうになりました。それも三度ほど。睡眠欲が強かったので強引にベッドにしがみついて寝ましたが、一体どこを通っていたのでしょうか。未だに分かりません。
目覚めてぼーっとしていますと、朝食前のモーニングコーヒーが来ました。ウェルカムドリンク、夕食とこれで三度目。コーヒーばっかり飲んでいます。このことについてはそういえば初めに食堂車の方が食事確認の時にいらしたとき、「何度も連続で飲まれることにないように」と、ちゃんと朝方もってくる時間を調整していただけたものです。何度も飲んでいますが、美味しいです。飲み飽きない味。
朝食は私が洋食、夫が和食。のんびりゆったりと朝の空気を楽しみます。ちょうど時間が時間だったせいか、停車するたびに学生さんたちがじっと見ているのはなんだか気恥ずかしかったです。食後にもコーヒーをいただきました。落ち着きます。
部屋に戻り、下車するまでのんびりしようとしていたところ、車掌さんがいらっしゃいました。「スイートにお泊りの方には乗車証明書を発行しています」とのことで、夫婦それぞれの名前を用紙に記入して渡したところ、ほどなくして人数分、二枚の乗車証明書を持って来てくれました。それぞれ個人の名前と乗車日、車掌さんのお名前がありました。
なごり惜しいですが、京都に到着です。ホームにおりた途端に蒸し暑さが我々を襲いました。その時になって初めて、車内の空調が完璧であったこと、とても過ごしやすかったことに気が付きました。
さて、後日。一週間から二週間かかるといわれていたコーヒーカップセットは４日で届きました。専用の化粧箱は前もって言われていたとおりありませんでしたが、綺麗に包装紙で包まれた箱の中に、中身も厳重にひとつひとつ丁寧に梱包されていました。これでまたお茶を飲んで、楽しかった乗車の思い出にひたることが出来ます。
初めは自分が「電車に乗るのが好きなくせに酔いやすい」ということで大丈夫かどうか不安でしたが、気さくな乗務員さんのおかげもあり、楽しい時間を過ごさせていただきました。いつかまた、北海道に行く機会を見つけて今度は往復利用してみたいと思っています。