カシオペア乗車記
鹿児島から北海道の帯広へ転勤が決まり、寝台特急のカシオペアを利用して行こうと計画を立てた。家族4人（大人2名、3才と6ヶ月の子供2名）でゆったり乗れるようにと、できればスイート、ツインでも3人利用できる部屋を希望。
4月2日に乗車すべく3月2日朝からJR九州に電話する。朝からかけたにもかかわらず、席は全くなし。北斗星も聞いてもらったところこちらもダメ。ならばトワイライトと電話するが、B寝台しか空きがない。チケットをとるのは困難と本には書いてあるが、こんなにもあっさりだめになるとは思わなかった。一日中連絡をとるが結局取れなかった。ところが、翌日JR東日本のホームページをみるとツインに若干の空きがあることが判明、すぐに電話をしたところツイン両端の3人部屋が空いていた！早速駅に行きチケットを購入、まさにプレミアムチケットと実感。
食事券はJR九州では取れないので、たまたまそれまでに福岡へ行く用事があり、その際にJR西日本で購入した。それにしても寝台特急の利用にあたり、JR九州では何かと不便であることが分かった。寝台特急なはも鹿児島からなくなるし、どうにかしてほしいものだ。
ツインの両端部屋なら子供も小さいし、4人なんとか眠るには大丈夫と思っていたが、スイートの夢が捨てきれず、乗車1日前にたまたま電話したところ、なんとスイートに空きがあった！すぐに駅に走りチケットを購入した。禁煙席でないのが残念だったが、たった8室しかない部屋の1つが取れたのだから大満足。1年前からスイートで行きたいと願っていたので、神様がかなえてくださったのか？
4月2日鹿児島から飛行機で羽田へ、モノレール・JRで上野駅に到着。上野駅、初めて来たのだが、大きい割に案内が悪く、荷物を抱えての移動だったのでとても不便に感じた。しかしその不愉快さもカシオペアを遠くに見た時点で解消。13番ホームにはすでに銀色の車体が到着しており、たくさんの人が記念撮影を行っていた。われわれもさっそく写真撮影を行う。子供用の弁当やビールを近くで購入し、いざ車内へ。
スイートは本で読んだ以上に広くびっくり。2階は十分くつろげる上、1階のベッドは広々としていた。以前寝台特急なはのソロに乗ったが、それとは比べられないほどの広さであった。もっと外で写真をとったり、5つ星ホームにも行きたかったのだが、時間の関係でできず。
定刻に列車は出発、ビル街を眺めているとウェルカムドリンクが届いた。3歳の長男は目ざとくキャラメルを見つけ、おいしそうに食べていた。これはおかわりもできるようだ。トイレやシャワーもあり、テレビも見ることが出来る。本当にホテルに宿泊しているような気分である。
長男と探検に行こうとラウンジカーへ向かう。スイートは最後尾の2車両であるため、先頭のラウンジカーはかなり遠い。どこまで行っても廊下が続く。あと1車両というところで息子が帰ると言い出した。せっかくここまで来たのにと残念に思ったが、結局帰ることに。
途中でキャンセルしたツイン両端部屋をのぞく。中は結構広く、ゆったりとしていた。しかし、乳児がいると先に眠らせたり、泣いたりすることがあり、ツインではきびしかったかなと思った。でも大人3人なら、スイートとくらべても不満はないようにも思った。 普通のツインもなかなかと思った。本で読んでも寝るときにはシートがどんな形になるのか分からなかったが、L字型になると分かり満足した。
部屋へ戻り、ドリンクを飲みながらしばしくつろぐ。移動の疲れ、適度なゆれ、禁煙車でないためか独特のにおいがあり、少し車酔いになってしまった。窓が開けば、新鮮な空気が入ってくるのだが、そういうつくりにはなっていない。
気分転換に早めにシャワーを浴びる。時間は限られているが、水圧もよく十分満足できた。その後頼んであった弁当を食べた。ボリュームがあり、とても美味しかった。できれば食堂車に行きたかったが、子供がいるのでやむを得ず。
外はだんだん暗くなってきた。東日本の地理に全く疎いため、どこを走っているのかさっぱり分からず。住宅街が多いような気がして、特別景色がいいとは思わなかった。パブタイムの放送があり、せっかくだからとソーセージを注文した。あまり期待していなかったが、これがとても美味しかった。
妻と乳児が１つのベッド、長男が１つのベッドに寝ることとし、私は2階のリビングで寝ることに。リビングベッドも十分広く、足をのばしても大丈夫、しかし下のベッドはもっとゆったりとしており本当に動くホテルと実感する。
ワインを飲みながらボーっと外を眺めていたが、10時頃に眠気に勝てず就寝。夜中目がさめると列車は停車していた。外をみると青森駅？先頭にいるはずのカラフルな機関車が分離されて遠くに見えた。動き出すとスイートの方から引っ張られていた。途中で進行する向きが変わるのかな？と疑問に思ったが、いつのまにか眠っていた。
以前なはに乗車した際、窓際は寝ると寒いと思ったのだが、カシオペアではあまり感じなかった。防寒機能がいいのか、ガラスが厚いのか。
朝目がさめると、外は一面雪景色！もう函館を過ぎたあたりであった。しばしの間、家族で感動して外を眺めていた。ふと思うとどこで入れ替わったのか、スイートが最後尾になっていた。どうなっているんだろう？
先頭の機関車を見に行こうと、長男とラウンジへ向かう。今度はたどり着くことが出来た。青いディーゼル機関車が見えた。数名先客がいて、ここでもcoffeeなどを注文することができるようだった。しかし、禁煙でないためか、タバコのにおいが鼻につき興ざめ。これは何とかしてもらいたいと思った。帰りに売店でカシオペアの携帯電話につけるストラップを購入、部屋へ戻る。
朝食はとらないつもりだったので、乗車前に購入したおにぎりなどで済ませた。帰り支度に時間がかかり、トランクに詰め終わったのは札幌市内に入ってからであった。札幌駅には定刻で到着。ホームへ出ると思ったより外は寒くないと感じた。
移動が多かったことによる疲れ、体調不良、車酔いなどもあり、必ずしも満喫できなかったかもしれないが、カシオペアでの旅自体は十分満足できるものであった。たった８つしかないスイートに乗れることができたのも本当にラッキーであった。北海道生活の幸先のよいスタートが切れたのではないかと思い、次の帯広行き特急を待った。