2004.11.10（Wed）。博多から東京まで「さくら」で帰ります。切符は東京からの往復ですでに購入してあるもの。天神での仕事を終え、コンビニで食料を買い込んで地下鉄で博多駅に向かいました。１時間ほどスターバックスで時間をつぶし、ホームに向かいます。今回の乗車は「さくら」のＢ１ソロ。３日前に初めて寝台特急に乗ったばかりですが、今回はＢ１とはいえ初めての個室、楽しみです。
平日の夕方ということで駅は少し混んでいて、４番ホームでほぼ満席の19:32発佐世保行き特急「みどり」を見送り待っていると、赤いED76機関車に引かれ長崎を16:50に出た東京行き寝台特急「さくら」が熊本からの「はやぶさ」併結で滑り込んできます。２度目となるブルートレイン、今回自分の乗る8号車は"SOLO☆"という大きなシルバーのロゴと独特の窓の配置が印象的。さっそく乗り込み自分の個室、８番に向かいます。
乗ってまず違うのはデッキの自動ドア。他の車両にはない装備ですね。そしてもう１つ、この車両は通路が狭くて他の人とのすれ違いが難しい。個室車なので開放寝台のように横に入ってお互いすれ違うということができないんですね。これも個室に乗るまではわからないことでした。私の部屋は上だったのですが、ドアを開けるといきなり階段で荷物を入れるのに少し時間がかかり人を待たせてしまいました。
列車は19:44定刻に博多を発車、相変わらずガタンというショックとともに東京まで１６時間の列車の旅の始まりです。少ししてドアをノックする音が聞こえて車掌が検札に来ました。今回は個室ですし、時間ももう夜８時近くなのでロビーカーには行かないことにして、さっそく着替えます。階段部分でないと立つ時に頭が天井につかえますが、階段は比較的広く、荷物を置いたりもできて便利です。
ソロ室内には備品として開放Ｂ寝台と同様に毛布、浴衣、木製ハンガーが置いてあり、個室らしいものとして部屋の鍵が付いています。鍵自体は普通の家の鍵と同じようなものでした。他に主な設備として折りたたみ式の大きめのテーブル、鏡、ゴミ箱があり、枕元にアラームデジタル時計と照明・エアコンのコントロールパネル、読書灯もあります。ベッド足元側に広い荷物置き場があり、ここにコンセントも装備されています。今回は仕事後だったので使いませんでしたが、ノートＰＣで資料を作りながらの移動というのはよくあるケース。コンセントが利用できるのは大変便利です。飛行機では外付けバッテリーを貸してくれることもありますが、新幹線ではグリーン車でも電源の提供はありません。この点ソロは大きなテーブルもあって、快適に作業しながら移動でき魅力的です。この点はもっと宣伝してもいいのではと思いました。
一段落して外を見ると、ソロの上からの眺めは最高です。遠くまで見渡せる上、ホームを見下ろすような感じで、カーテンを開けていても外から中が見えることもなく落ち着きます。天井まで開いた窓も星空が見えそうで開放感があり、これはなかなかいいです。外が見やすいよう部屋の照明を暗めにし、さっそく食事にします。展望のよい車内でのディナーは趣きがあって、大したものを食べていなくても満足度が大きいです。そして食後ゆっくり過ごす時間は寝台車の個室ならではの贅沢な楽しみ。日頃のストレスから開放される感覚が最高です。ちょっと飲みそのまま寝る態勢に入る、至福の時（笑）。
就寝後は時々目が覚めました。やはり発車時のガクンというショックが大きく感じます。この間外を見たのは岡山駅の運転停車時、あとは走行中数回。走っているときに外を見るとそこそこのスピード（１００キロ以上？）が出ているようで、音がしない割に結構速いんだなぁと思いました。
朝は名古屋付近で目が覚め、アナウンスによると列車は１０分ほど遅れて運転中とのこと。在来線らしい豊富な景色を楽しみながら、お茶にします。終点東京まで個室でゆったり時間を過ごせるのがいいですね。走行中機関車が時々警笛を鳴らすのですが、見ていると子供がお母さんと線路際に立って手を振っているのに応えているのが間々あり、自分の子供の頃と同じだなぁと少し楽しくなりました。新幹線と違い、寝台特急の走る在来線が町中を通っていること、そしてその適度なスピードがこういったコミュニケーションを生んでいるのでしょう。スピード化時代にノスタルジックかも知れませんが、こういう文化は変わらずにあってほしいと思います。
終点近くになると車掌が鍵の回収に来ました。乗客が降車する時間にあわせて来ているのだと思いますが、私など車掌が来ることを知りませんでしたので最初ドアをノックされていることに気づいていませんでした。この点はＡ寝台の暗証番号式の方が乗客・乗務員双方に便利でしょうね。「さくら」は途中遅れを少し取り戻し、最終的に定時より５分遅れの11:38東京に到着しました。ホームに降り、先頭の機関車を見に行くとEF66はすでに客車と解結し、２ - ３ｍ離して止めてありました。少しして客車の逆側に機関車が付いたようで、品川方向に引っ張られて行きました。EF66もその後を追うように単機で品川方面に動いて行きましたが、ホーム端にいた数人のＪＲ職員（車掌？）が機関車に走り寄ると停車し、運転士が顔を出して談笑していたのが、あわただしい東京駅の中で印象的でした。
今回「さくら」のＢ１ソロに乗って、Ｂ寝台料金で個室寝台に乗れるのは大変魅力的だと思いました。編成中に１両しかないため予約を取りにくいのが難点ですが、またぜひ乗りたいと思っています。