結婚25年目の記念に北海道旅行を計画しました。妻はどこでも良いようでしたが、私はどうしても北海道でなければならなかったのです。そう、それは「北斗星に乗りたい！」・・・。こんな時でもなければ会社は休めないし、女房から資金を引き出せませんからね。カシオペアにするかどうか迷ったのですが、到着時間が早すぎる点と、「やっぱり寝台車の色はブルーでしょ」の二点で北斗星ツインデラックスに決定。更に並行ベッドのJR北海道車両に狙いを定め、一月前の9時半に自宅近くの郊外の窓口に直行しました。
30分前だというのに窓口で快く受け付けてもらえ、10時前には入力の準備万端お陰で無事取得できました。「この切符なかなか取れないんですよ」と、窓口係員の得意げな顔が印象的でした。同時に依頼していた大手旅行会社からは「残念ですが・・・」との連絡が入る。やはり乗客の少ない駅で、駅員さんと良く相談するのが一番のようです。ありがとうございました。
当日は嬉しさのあまり早めに上野駅に到着しました。ホームには30分早く出発のカシオペアが停車していましたので、しっかり記念撮影。やはり、旅の始まりは上野駅ですねこの駅の雰囲気がたまりません。ただホームが半地下なので電源車の排気ガスが充満してしまいます。もう少し換気を考慮するか、電源車のエンジン回転を下げるとかしてもらいたいものです。グランシャリオの予約を忘れたので、駅弁でパブタイムまでもたせる事とし、売店の物色に出かけました。ホームに下りると、既にカシオペアは出発し、念願の北斗星が入線していました。カシオペアに比べると、さすがに少し古いかなーって気もします。
ともあれ、先頭でヘッドマークをバックに記念撮影後、8号車3号室へ。ドアを開けたときの第一印象は「あれ、狭いなー」でした。妻の感想も同様だったようですが、中に入り落ち着いて見渡すとなかなかの広さがあります。一階でしたので正面窓は大きく、上にも窓が有ります。左右のベッドはまあまあの余裕で、ソファーとして使用しているときは広すぎるほどです。洗面台側のベッドは下半身を少し潜り込ませる感じはあります。
16：50予定通り上野を出発電車車両と違い牽引型の列車はとても静かで快適です。昔乗った「あさかぜ」や「さくら」等の寝台特急と違い外の音も入らず、連結器の遊びによると思われる「ガシャガタン」といった音や振動もあまりしません。踏み切りの音が聞こえないとロマンが無いなーと贅沢を言いながら、先程購入した「北海弁当」を食べ始める。すでに舌の上は北海道なかなかの味でした。車内販売で購入した「北海道限定サッポロクラシックラガー」を飲みながらのんびり車窓を眺めつつ一服、ホームを通過するたびに人の目が少し気になります。
落ち着いたところで車内探検にでかけることにして隣の食堂車へ、ディナータイムを控えとても忙しそうですが、シャワー券を購入する。更に隣のロビーカーに行くと中年のおば様方の団体が占領していて立ち止まることさえ出来ません。直ちに退散です。
しばらくしてパブタイムとなり、隣の7号車に行くとすでにかなり席は埋まっています。空いていた最後の席に付き、ビーフシチューと北海サラダとワインを頼み乾杯。（ビーフシチューは時間がかかるので早めに頼んだほうがいいようです）パブタイムは喫煙可となりますので愛煙家はこのほうがいいかもしれませんね。のんびりしていると一ノ関駅を通過しましたが駅には誰もいません。遠くに来た実感がわきます。
部屋に帰り夜空を眺めると、降る様な星空です。この充実感とゆったりとした時間の流れが寝台車のいいところですね。うとうとしながら青函トンネルの直前で目を覚ましたが、不覚にも又夢の中気づけば北海道側を反対方向に走っているではないですか。これが西村京太郎のトリックの世界なんて考えていると大沼駅？で30分前方を走っているはずのカシオペアが停車していました。やがて先に発車していきましたが、あれは何だったのでしょう。
登別到着は7：55なので朝食タイムの6：30ちょうどにグランシャリオに出かけると、アナウンス前だというのにもう並んでいます。皆さんよくご存知なんですね。時間ぎりぎりに食事を摂る事が出来ましたが、食堂車はもう少し収容人数を大きくしてもいいのではないかと感じました。パブタイム以外は味の割りに金額設定も高すぎるかな。ディナーもブレックファーストも車外の約二倍の金額です雰囲気料でしょうか。最後に皮のキーホルダーを求め、早朝の登別駅に降り立ちました。降り立った乗客は私達二人きりです。遠ざかる北斗星に寂しさを覚えつつ北海道旅行の最初の一歩を踏み出しましたが、旅の山場を越えてしまったような気持ちで一杯でした。
道内は駅レンタで登別〜洞爺湖〜札幌ここから富良野までは特急ラベンダー号、更に大雪〜網走とレンタカーで走破しましたが、疲労予防に途中に鉄道をいれて正解でした。原生花園やラベンダーは6月では早すぎたのが残念でしたが素晴らしい思い出を残すことが出来ました。
帰りの飛行機の味気なさが、寝台車の素晴らしい思い出を更に引き立ててくれたような気がします。