東京都さまのトワイライトエクスプレス号乗車記

（下りトワイライト・その１）

1. 2月3日(金)時刻は正午、トワイライトエクスプレス（以下、「トワイライト」と記します。）は定刻に水の都・大阪を発車しました。これから始まるＪＲ12線区・1,500km・21時間に及ぶ列車の旅の始まりに、心が弾みます。終着駅の北の都・札幌到着は明朝9時7分の予定です。
2. 発車後の車内には、「いい日旅立ち」のメロディーが流れます。名曲をBGMに早速アルコール類に手を伸ばして、これから車窓に広がる琵琶湖や日本海・立山連峰、そして雄大な北の大地の景色に、思いを巡らせることにします。
3. 今回の乗車に際してゲットした個室寝台は、6号車11番Ｂ個室・進行方向右側のシングルツインです。個室内には線路方向に向い合せのソファがあり、上段には固定式の補助ベッドがあります。ソファは夜間には引出して、下段ベッドになります。

（下りトワイライト・その２）

1. 天王山の山崎を過ぎて千年の都・京都を後にしたトワイライトは、鴨川の流れを渡り東山トンネルへと向かいます。次の山科からは東海道本線に別れを告げて、湖西線へと足を踏み入れます。
2. 湖西線内では、しばらくの間右側の車窓には琵琶湖の姿が、そして左側の車窓には雪を頂いた比良連山の姿が続きます。
3. 13時過ぎには、食堂車・ダイナープレアデスの営業も開始となりました。早速赴いて定番の品・ビーフカレー（辛口）を注文します。気が付けば食堂車でランチが味わえる列車は、この下りトワイライトだけになってしまい、一鉄道ファンとして誠に残念で寂しいことです。
4. 日本海側へ向けて走行するトワイライトは、降雪の影響により5分遅れて北陸本線との合流点・近江塩津を通過しました。琵琶湖の姿が消えた車窓は、左右ともすっかり雪景色に変わりました。この先、寒波の影響による列車の遅れが心配です。

（下りトワイライト・その３）

1. 福井県南部の日本海に面する港町・敦賀を発車したトワイライトは、これから在来線で二番目に長い北陸トンネル（全長13.87�q）へと向います。在来線で一番長い青函トンネル（全長53.85�q）は、翌日の未明3時過ぎに通過する予定です。
2. 先程から、進行左側の車窓に蜃気楼で有名な富山湾が見えて来ました。日の短い時季ですが、何とかトワイライトの車窓から日本海の姿を眺めることが出来ました。
3. しかし、曇天のため立山連峰の雄姿と日本海に沈むトワイライトの麗姿は、眺められそうもありません。

（下りトワイライト・その４）

1. 只今の時刻は、18時30分です。トワイライトは、信越穂本線の柿崎（直江津から6駅目）に臨時停車した後、15分の遅れで発車しました。
2. なお発車後には、「これからしばらくの間は、大雪と強風の影響により徐行運転を行ないます。」との車内放送がありました。昔の乗務員としての経験に基づき様子を伺ったところ、時速45�q制限での走行と推察されます。
3. トワイライトが2時間以上遅れて札幌に到着する様にとの下世話な考えが、心の中に芽ばえます。（特急列車が2時間以上遅れると、特急料金が払い戻しになります。）そうは言っても、あまり遅れてトワイライトが途中駅で運転打ち切りになっても困ります。

（下りトワイライト・その５）

1. おはようございます、2月4日(土)6時30分です。
2. トワイライトは、まもなく道内最初の停車駅・湖と温泉で有名な洞爺に到着します。と言いたいところですが、荒天による運転規制の影響で9時間遅れ、山形県南部のあつみ温泉付近を走行中です。
3. そのため、これから先も日本海の姿を、飽きる程眺めることが出来そうです。
4. ただ、トワイライトが余りにも遅れているため途中駅での運転打切りの心配が現実のものになりつつあるのが気懸かりです。

（下りトワイライト・その６）

1. 8時20分頃から、再度ダイナープレアデスに赴きました。予約した朝食は和定食で、お櫃に別盛になったご飯と熱い味噌汁が食欲をそそります。おかずはマグロの刺身・シャケ・タラコ・温泉卵等で（朝食としては）かなりの豪華版です。
2. ところで、トワイライトは8時15分頃から山形県北部・日本海に程近い吹浦に臨時停車しています。8時30分に大阪行の上りトワイライトが、7時間23分の遅れで発車して行きました。その後下りトワイライトは、8時45分に10時間21分の遅れで発車しました。
3. 吹浦発車後は、進行左側に文字通り鉛色の日本海の姿が、車窓いっぱいに拡がりました。

（下りトワイライト・その７）

1. 昨年夏に乗車した際には、北陸トンネル内で先行列車が故障して立ち往生した影響で、トワイライトが本州内で2時間30分遅れました。そのため、普段は夜明け前に通過するはずの道南の名所、大沼公園・駒ヶ岳の景観をトワイライトの車窓から眺めたものでした。今回は更に遅れて走行しているために、久しぶりに北部日本海の姿を眺めることとなりました。
2. それにしても、多少の遅れは覚悟しての大阪出で立ちでしたが、まさかこんなに遅れることになるとは。
3. なお、札幌到着後にそのまま折り返して乗車する予定だった、今日の上りトワイライトの運休が決まりました。乗車中の下りトワイライトが大幅に遅れているため、折り返しで使用する車両のやり繰りが付かなくなったためです。今晩の寝床が無くなってしまい、只今多いに狼狽中です。

（下りトワイライト・その８）

1. 時刻はまもなく、10時30分です。トワイライトは、約10時間30分の遅れで八郎潟干拓地近くに所在する奥羽本線・羽後飯塚を通過しました。本来であれば、この駅で深夜の23時59分に下りのトワイライトと上りのトワイライトとが、列車交換のためにすれ違います。
2. ところで、前述の様に今晩乗車する予定の上りトワイライトが運休になったので、（と言うことは）下りトワイライトの途中駅での運転打切りの恐れは、無さそうです。
3. なお、札幌到着後は手持ちの周遊キップ（札幌・青森間乗り降り自由）を活用して、札幌発青森行きの夜行急行・はまなすのＢ寝台車を今夜の寝床にするつもりです。
4. また帰路の足として、（当初の予定より1日後の）札幌5日発のトワイライトの寝台券を手配しようと考えています。

（下りトワイライト・その９）

1. 水の都大阪を出発してから早や24時間、時刻は再度正午になります。トワイライトは10時間40分の遅れで秋田県北部の奥羽本線陣場駅を通過しました。次の駅・津軽湯の沢から、トワイライトはようやく青森県へと歩みを進めます。このままの遅れで行くと、札幌到着は20時頃と見込まれます。
2. 一昼夜以上に亘り同一の列車に乗車するのは、かつての東京発西鹿児島行急行・桜島号に乗車して以来です。こんなに贅沢で嬉しいことは滅多にありません。
3. なおこの辺り、車窓から眺める天気は目まぐるしく変り、雪晴れと吹雪きとが交互に現れます。

（下りトワイライト・その１０）

1. トワイライトは、通常であれば深夜の3時すぎに通過するはずの青函トンネルを、午後2時頃に通過しました。トンネル通過時には、車内放送により青函トンネルについての案内が行われました。
2. ところで、これまでの間に朝食としてお握り２ケが、そして昼食用として大館駅の名物駅弁・鶏めし弁当が無料で配られました。この先函館辺りで配られる夕食用の弁当に、期待が持てます。
3. 青函トンネルを通過してようやく北海道内に足を踏み入れたトワイライトは、その後も単線の江差線内での列車交換待ちのために遅れが増して、16時16分に津軽海峡に面した茂辺地を12時間2分遅れで発車しました。この付近から望まれる津軽海峡は思いの他波穏やかで、函館山や対岸遥か遠くには内地(？)の姿も認められます。
4. トワイライトがあまりにも遅れているので、札幌22時発の急行はまなすに間に合うかどうか微妙になって来ました。

（下りトワイライト・その１１）

1. 時刻は17時を過ぎました。トワイライトは、道南随一の景勝地・大沼公園を走行しています。この付近で再度日が暮れて、トワイライトで2回目のトワイライトタイムを迎えることになりました。
2. なお、その後トワイライトは更に遅れが増して、このまま札幌まで行くと青森行のはまなすに(折り返し)乗り継げなくなる恐れが強くなりました。
3. そのため急遽予定を変更して、19時47分に12時間30分遅れで到着した東室蘭で泣く泣くトワイライトから下車して、後続の札幌行き特急北斗22号に乗り換えることにしました。北斗22号が定刻に札幌に到着すれば、青森行きのはまなすに余裕で乗り継ぐことができます。
4. ところが、「北斗22号は、大幅に遅れて運転しています。」との駅の放送が入り、またも今夜の寝床が無くなりピンチ到来となってしまいました。幸いにも駅内の看板で見かけたビジネスホテルに電話したところ、宿泊OKとのことでした。なので、今は東室蘭駅近くのホテルの一室で、ホッとしているところです。

（余談）

1. 前述の様にトワイライトが大幅に遅れたため、朝食用としてお握り２ケが、昼食用として大館駅の名物駅弁・鶏めし弁当が無料で配られました。夕食用として、函館駅のうに・いくら丼の配布を期待しましたが、配られたのはお握り２ケでした。
2. 急遽宿泊した東室蘭では、ホテル到着後に夜食の買出をするため、少しだけ街歩きをしました。穏やかな天気に恵まれた夜の街並みは、一面の雪景色が街灯の灯りに映えてとても綺麗でした。「吹雪が止んだ北国の・・・♪♪」というメロディーを、思わず口ずさんだことでした。
3. 急遽宿泊した東室蘭では、ホテル到着後に夜食の買出をするため、少しだけ街歩きをしました。穏やかな天気に恵まれた夜の街並みは、一面の雪景色が街灯の灯りに映えてとても綺麗でした。「吹雪が止んだ北国の・・・♪♪」というメロディーを、思わず口ずさんだことでした。