３月下旬に乗車したトワイライトエクスプレスについて投稿します。初めての北海道旅行では絶対にトワイライトエクスプレスに乗ると決めており、また、目的地が宗谷岬だったので「せっかくだから日本最北端の稚内駅まで全て鉄道を使おう！」ということで、
１日目：富山〜札幌はくたか→Maxとき→はやて→つがる→はまなす（車中泊）
２日目：札幌〜稚内スーパー宗谷（稚内泊）
３日目：稚内〜札幌スーパー宗谷（札幌泊）
４日目：札幌〜富山トワイライトエクスプレス（車中泊）
という旅程を立てました。
トワイライトＥＸＰのチケット入手にあたっては、このサイトのみなさんの投稿を参考にしたりして、旅行会社への事前予約とみどりの窓口での10時ジャスト打ちの方法を選びました。旅行会社では開口一番「トワイライトは取れるかわかりませんよ。」と言われ、ちょっとむっとしましたが一応手配を依頼し、みどりの窓口の10時ジャスト打ちに賭けました。
乗車１ヶ月前の午前９時40分頃、富山県内の特急が停車しない某駅のみどりの窓口にトワイライトＥＸＰのシングルツインを10時丁度に発券して欲しい旨を伝えると、駅員の方は取りにくい列車だということをよく理解されているようで、快く引き受けてくださいました。
駅員の方がおっしゃるには「トワイライトは、ロイヤルは10時に打っても難しいけど、シングルツインなら何とかなると思う」ということで、端末に必要事項を全て入力し、10時２分程前から時報を鳴らして待機してくださる気合いの入りようでした。10時丁度に駅員の方の指が動き、２〜３秒後に「取れましたよ」の一言。丁寧にお礼を言って切符を受け取りました。
さてさて、初めての北海道旅行は順調に進み、いよいよ大トリを務めるトワイライトエクスプレスの登場となりました。13時50分頃、札幌駅４番ホームに重連のＤＤ５１に牽引されたダークグリーンの客車がゆっくりと入線してきます。
発車して「いい日旅立ち」のＢＧＭが流れ、一通りの車内放送が終わると、車内検札がありました。南千歳を過ぎたあたりでダイナープレヤデスの係の方が夕食の確認と朝食の予約を取りに来られました。夕食は「日本海会席御膳」を予約してあったのでそのチケットを渡し、朝食は洋食を頼んだのですが・・・・「朝食は7:30からと8:15からの２回ございますが、どちらになさいますか？」（えっ？マジで？パンフレットは6:00〜になってるじゃん！）「あのぉ、富山で降りるんですけど、富山着の8:01までに間に合いますかねぇ？」「う〜ん、そうですねぇ・・・、降りるご支度を全て終えられてから食堂車に来ていただければ大丈夫だと思いますが・・・」というような微妙な状況になってしまいました。結局その場では7:30からの朝食を予約し、係の方も《○○様（富山で下車）》とメモを取りながら、「ありがとうございます。慌しくなって申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。」と言って戻られました。（しかし、これは後からトワイライトのサービスの良さを見せ付けられる伏線だったのです・・・）
17:00過ぎ、部屋に会席御膳が届けられます。写真で見ると「果たして6000円の価値がある品なのだろうか？」と疑問はありましたが、実物はしっかりしていました。確かに料亭の会席に比べれば割高ですが、列車でこれだけのものが出せるのはすごいとしか言いようがありません。味も良かったです。（個人的には一緒についてきたお茶が、昔の車内販売で売られていたプラスチック容器に入った物だったことが懐かしくて印象的でした。）
ゆっくり味わっていると、扉がノックされ「食堂車の者ですが」と声が聞こえます。「あれ、もう食器を下げにきたのかな？」と思って、扉を開けると、係の方が、「先ほどの朝食の件なのですが、○○様の他にもう一人富山で降りられる方がいらしゃいまして、7:20分頃には放送で朝食のご案内が出来ると思うのですが、お二人分を最初からテーブルにご用意した状態でご案内差し上げたいと思います。もし、それでよろしければ合席になってしまいますが、差し支えございませんか？」とおっしゃいます。（おぉ、そこまで考えてくれたんだ）と感激しつつ、お礼を言って了承しました。
列車は青函トンネルを抜け青森県へ入り、ダイナープレヤデスはパブタイムになりました。食堂車というものを体験したことがない私は、早速向かうことにします。私の他には２，３組くらいしかいませんでしたが、一人なのは私だけでした。なかなか料理が出てこず、暗くて何も見えない窓の外を眺めていると、係の方から「申し訳ありません」と何度も謝られてこちらが恐縮してしまいそうになりました。
ようやく料理が運ばれてくると、係りの方から「今回はご旅行ですか？」と声をかけられました。一人旅でここ数日まともな会話をしていなかった私はついつい、一人旅で初めての北海道であること、稚内まで全て電車で行ったこと、トワイライトが小さい頃からの憧れの列車であったことなどたくさん話してしまいました。その方もいろいろと話を聞いてくださり、「トワイライトや旅行がお好きでしたら、今度北海道へ行かれる時はここを訪ねてみてはどうですか？」と北海道のあるスポットを紹介してくださいました。
研修の段階や、業務のマニュアルに「一人旅の人に声を掛ける」というようなことがあるのかどうかは知りませんが、たとえそのようなマニュアルがあったとしても、笑顔で話し相手になってくれるのは嬉しかったです。実は、家族連れやカップルの乗車が多く（やっぱりこの列車は一人で乗るもんじゃねぇなぁ・・・）と思いかけていたので、このことでトワイライトの印象がぐっと良くなりました。
食堂車で気分を良くし、少し酔いも回ってきたところで、23:00から予約していたシャワーを浴びて就寝しました。
翌朝、目が覚めたのは直江津あたりでした。この辺までくると見慣れた車窓です。少し早めに降りる準備をして、誰もいないサロンカーで親不知付近の日本海を眺めます。
しばらくすると車内放送で朝食の案内があり、早速向かって驚いてしまいました。二人分を先に準備しておくと言っていたのが、全員分がすでにスタンバイされていたのです。確かに二人分だけを先に準備しておけば、事情を知らない他の乗客は不公平に感じることでしょう。事情ありの二人に合わせて、他の方々の分もきっちり用意して向かえるところは、トワイライトのサービスがプロの仕事だと実感させられるものでした。おかげで朝食は、富山湾や立山連峰の案内放送を聞きながらゆっくり摂ることができました。
朝食を終えて部屋に戻ると、富山到着のアナウンスと富山の観光案内が流れます。見慣れた風景の中をゆっくりと減速しながら、トワイライトエクスプレスは定刻に富山駅の２番ホームに停車しました。
ホームに降り、２分間の停車の間に札幌から運んできてくれた列車を眺めます。ダイナープレヤデスでは、昨夜話し相手になってくださった方も忙しくお仕事されていました。8:03、トワイライトエクスプレスは大阪駅を目指して富山駅を発車していきました。
今回、小学生の頃から憧れていた列車に初めて乗車したのですが、トワイライトエクスプレスの魅力は設備の豪華さもさることながら、クルーのホスピタリティの高さだと思います。《乗客と一緒に列車の空間と時間を共有する》トワイライトのクルーの方々にはそんな雰囲気があるように思います。気の利いたサービス、心温まる瞬間があって、初めて私にとってトワイライトエクスプレスが「もう一度乗りたい」列車になりました。次回は是非、始発から終着まで乗車してみたいです。