毎年、夏期休暇は京都を拠点に滋賀、大阪と旅をしています。新幹線で、びゅーんと行ける便利な世の中ですが、今年はのんびり行きたいなと思い憧れのブルートレインに乗ろうと決めました。やはり西村京太郎先生の影響です。
ただ、折角乗るなら長距離乗らないともったいないので、前々から気になっていた博多の街や九州国立博物館を目指すことにしました。それからは寝台特急についてＨＰや本を読んで勉強し、東京駅や有楽町駅で見学してテンションを高めていきました。狙うはシングルＤＸ。理由は、個室で安心・海側で景色良し・洗面台ありだからです。
切符は乗車１カ月半前に某大手旅行代理店に前受けを頼み、不安でしたがあっさり取れました。それからは必需品のポケット時刻表、汗拭きシート、歯ブラシセットそして『寝台特急「はやぶさ」の女』を鞄に詰めあとは乗るだけとなりました。
９月某日終業後、会社のみんなに出兵するかの如く送り出され、大丸でビールとつまみを買い込み１０番線ホームへ。既に何人かは乗車しており、車中カメラ小僧や笑顔で向き合ってお弁当を食べる老夫婦を見て、あ〜遂に乗ってしまうんだな〜とじ〜んときてしまいました。まだ乗車前なのに。それに不思議なことに、このホームにはゆっくりと時が刻まれているようでした。
個室は３号室。進行方向とは逆ですが苦になりませんでした。通勤時の訓練の甲斐がありました。個室内は思ったより広かったです。タバコ臭も気になりません。扉上の荷物置き場も奥行きがあるし、紙タオルあり、石鹸あり、特製タオルもかわいい（即効鞄の中へ）。またトイレには造花が飾ってあり、昭和を感じさせます。
発車後、車掌さんが丁寧に設備の説明をしてくれて好印象でした。隣の個室には私より年下の女の子が乗っていて、安心感と改めてブルーとレインの人気を実感しました。
静かにはしゃいで飲んでいるとあっという間に熱海でした。すぐ寝てはもったいないので大阪まで起きていました。途中、米原では事務所内で机に向かう人の姿があり、京都では工事の人と目が合い、こういう方々のお陰で列車で安全かつ楽しく旅が出来るのかと感謝。
就寝に揺れや狭さや走る音はほとんど感じません。枕が堅めで首も楽でした。岡山辺りだと思いますが、夜空の星座がとても綺麗に見えました。そして朝方の瀬戸内海は最高でした。この景色こそが九州ブルートレインの魅力ではないでしょうか。下関では、平日の為ふく天うどんが買えずへこみましたが、機関車の連結を見て気分は復活しました。
博多までの約１６時間はとても短く、まだまだ乗っていたかったです。下車後はスーパー銭湯でさっぱりし、太宰府、九州国立博物館へ。再び博多のデパート、グルメを満喫し、夜には念願のひかりレールスターで新大阪に帰りました。その後の旅は吉本新喜劇、京都井伊美術館（かなりオススメ）、花街、彦根等盛り沢山でした。
「寝台特急なんて時間がかかってもったいない、無駄」とよく耳にしますがその無駄な時間が大切だと思います。なぜならば人間模様や絶景等、多忙な普段では見えないものが見え、自分の為の有意義な時が過ごすこ事が出来るからです。
今回、はやぶさに乗車出来た事はとても幸せでした。大した事は記載していませんが、特に女性の皆様に乗車の参考にして頂けたらと思います。