６月に友人から金沢での結婚式に招待していただいたので、思い切って東京経由でサンライズ、北陸を使って金沢に乗り込むことを決めました。時期によっては両列車とも予約困難と聞いたので、発売日１ケ月前に駅に申し込んだところ、無事、切符が取れました。
それまで富士ぐらいしか寝台列車に乗ったことがなかったので、当日、ワクワクしながら岡山駅でサンライズを待っていました。ホームに入ってきたサンライズを見て、外観の美しさにうっとりしました。岡山駅では出雲と瀬戸が併結されるので、数人のファンとともにその作業を見守り、いよいよ列車に乗り込みました。
初めてのシングルデラックスということで高鳴る胸を押さえて部屋に入ると、その綺麗さに大感激。部屋は広く、木質系の内装は光っているし、窓も広く、レール方向のベッドも気持ちよさそうで、何もかもがこれまで乗った寝台列車とは大違いでした。しばらくは室内の設備を確かめたり、アメニティグッズを手にとったり、記念撮影をしたりとあまりに興奮していたので、気がつくと列車は姫路へと近づいていました。私は漸く岡山駅の地下街で買ってきたコーヒーを取り出すと、時の流れに身を任せました。
列車は姫路、三ノ宮、大阪と足を止めていきますが、日付が変わる頃だというのに、どの駅も通勤客などで一杯です。ほとんどの人は携帯を見つめるのに忙しく、サンライズの存在など全く気に掛けていないようですが、寝台列車の個室という、いわば非日常の世界の中から窓１つ向こうに広がる現実世界を眺めるのは本当に何とも言えない気分で、「今、自分は旅の途上なんだなあ」としみじみと思えます。
途中、乗客でごった返す新快速と併走したりしつつ、華やかな関西地区を通り抜けると次第に通過していくホームから列車や人影が消え、最後には、このサンライズだけが孤独に闇夜の中を疾走しているような気分になりました。私はなかなか興奮が収まらず、しばらく景色を観ていましたが、徹夜をすると次の日が辛いので、無理矢理身体を横たえ、目をつぶりました。
翌朝、4時半ごろに目が覚めました。少しして静岡駅に到着しましたが、何だか列車は遅延しているようです。しばらく後に流れたおはよう放送によると信号の故障か何かでサンライズは40分程度遅れているとのことでした。
その後、列車は更に遅延を重ね、急ぎの方は熱海で新幹線に乗り換えるよう案内がありました。急いでいない私は、むしろ東京へ遅れて到着することを喜んでいましたが、更に放送に耳を傾けていると、列車は小田原から貨物線に入るので、横浜には停車せず、品川駅が終着駅になるとのことでした。これまで寝台列車の遅延は何度もありましたが、終着駅の変更は初めてです。
熱海では相当数の乗客が下車していく姿が見えたので、部屋を出て他の車両を歩いてみました。通路は狭かったですが、改めて素敵な列車だと思いました。それと、個室だけでなく、ノビノビ座席にまでサンライズの案内パンフが置かれていたことにも少し驚きました。
はっきりとは分かりませんが、個室はかなりの乗車率のようでしたし、ノビノビ座席でも多くの利用があった形跡があり、急ぎでない乗客がのんびりと雑談をしている姿も見られました。
最終的には、サンライズは1時間半程度遅れて品川駅に到着しました。やはり、ほとんどの方が熱海等で降車したらしく、サンライズを迎え入れたホームに降り立つ人は少なく、駅員さんたちの忙しげな様子がホームを慌ただしくしていました。私はその後も少しホームにとどまり、夢の時間を与えてくれたサンライズの姿をカメラに収めると、東京駅へと向かいました。
トワイライトなどの豪華列車に乗ったことのない私にとって、サンライズは最高級の列車でした。もちろん、富士なども私にとっては大切な列車ですので、東京へ行く際には色んな組み合わせで利用したいと思っております。