福井の実家で土曜日の朝から法事をするので来い、と言う連絡がありました。
住んでいる首都圏から福井へ最も早く行くには、東海道新幹線に乗り米原で北陸線に乗り換えるルートになりますが、法事に間に合うには前泊するか朝早く起きないといけません。普段は仕事でどうしても帰宅が遅くなるので、前泊は無理。となると早朝の新幹線になりますが、睡眠時間重視でもっと良い交通手段はないか？と考えてみました。
調べた結果、今回の北陸号に思い至りました。これだと朝まで寝ながら行けますし、金沢から特急に乗り換えて行っても、始発の東海道新幹線で行くよりも早く福井に着くことができます。何より、生まれて初めての寝台列車に乗れる、と言う事が肝要でした。思い立ったら即行動。乗車日1ヶ月前にみどりの窓口に並び、見事ソロをget。乗車日までこのサイトの写真を見て、どんな部屋なのかを色々推測したりしていました。
列車での夜の過ごし方は何もわからないので、とりあえず王道で酒をコンビニで買い込み、出発5分前に上野駅ホームに着きました。ホームには乗客の他にカメラを持った人があちこちで写真を撮っています。少し驚いた事は、その中に携帯電話を片手にした女性も数名混じっていた事。はしゃぎ気味の人もいます。寝台列車は男女の区別なく、夢の乗り物なんだと認識しました。その意味では年々減っている寝台列車が少なくなっている現実は、とても残念だと思えてなりません。
いよいよ切符に書いてある2階席の個室に入ります。このサイトの写真で見た広さよりも狭く感じましたが、いざベッドに腰掛けて見るとそれ程狭いと言う意識はありません。私は身長180cm以上、胸囲・胴囲とも90cm弱と言うメタボラインぎりぎり？の体型をしていますが、それでも空間は充分にありました。ズボンを脱ぐ時はさすがに屋根の高さが低く、寝転がりながら、でしたが。ベッドに寝転んで見ると、これがベッドの幅、長さとも私の体型にぴったり。ベッド幅は乗車前にこのサイトの情報を元にメジャーなどで測ってみて「寝れるかな？」と言う懸念はありましたが、問題ありません。これで通常のB寝台と同料金と考えると、今回の選択が良かった事に言いようのない嬉しさを感じます。
折角乗った記念にと思い、私も携帯片手に自分の個室を撮ろうとしましたが、どうも全体がうまくファインダーに収まらず、色々試してみたが結果的に一部分ずつ撮っていくことにしました。このサイトの写真のように全体が見渡せる写真は撮る事自体が難しい。その意味ではこのサイトの写真は非常に良く撮れていて、貴重な情報源だと思います。
ベッドに腰掛け直しお酒のプルタブを開けた時、がくん、とこれまでの電車で経験した事のない揺れを感じ、窓を見ると列車がゆっくりと動き出している事がわかりました。改めてベッドに備え付けてある肘掛けを倒し、ちびちび酒を呑みながら窓を右から左へ流れる景色を眺める。今の時期は各地で花見をするシーズンですが、ここでは次から次へと流れる様々な電燈を「花」にして酒を嗜むことができます。何とも言えない優越感です。
車掌からカードキーを受け取り、早速使って見ます。最初のうちはゆっくり挿し込んでいた為かリーダーがうまく読み取れずにエラーランプばかりついていましたが、素早く挿し込むようにすると、きちんとロックがかかりました。ある意味これも個室ならではの経験ですね。
金沢に着く時間も早いので、こちらもそれに備えて大宮を出てから横になります。が、初めての寝台車と言う興奮もあってかなかなか眠れません。たまにくる列車の揺れもあるのでしょうが、結局高崎に着くまで眠れず、その後もウトウトと起きているのか寝ているのかよくわからない状況は続きました。神経質なんでしょう。
浅い眠りの中で、富山に近づいているアナウンスで目が覚めます。いつも家で寝ている時よりも寝ていないのは明らかでしたが、時間はあっという間に過ぎているように思えました。それは普段体感したことのない目覚めと言うこともあるんでしょうけど、寝台列車だったからと言う事が一番だと思っています。
定刻通り6:24に金沢到着。朝早いにも関わらず、こちらもカメラを持つ人がちらほらと見えました。私はキャスターを転がしながら次の列車の来るホームへと向かいつつ、快適に眠れたとはいい難い状況でしたけれど、短い間を過ごした初めての寝台列車からなかなか目を離すことができませんでした。
次にこのような旅行ができるかはわかりませんが、寝台列車でしか味わえない「何か」をまた味わって見たいなぁ、とは思います。
長文でだらだら書いてしまいましたが、ここまでご覧下さいましてありがとうございました。