ラストランのまりもに乗る事を決めたのが今年の5月上旬でした。しかし、大学1年目に道内の特急を乗りつぶすという無謀極まりない計画を実行していたため7月中旬に予約した際には迷いに迷いました。しかし、夜行オホーツクに５回、まりもにも４回乗車しながら寝台に乗車したことが無かったため金欠になる事を承知で予約しました。しかし、1ヶ月前の予約確認の連絡ではキャンセル待ちであり念願かなって寝台券を入手できたのはお盆前でした。
思いの外札幌駅6番ホームには人が少なく車番の確認や撮影はスムーズに出来、出発5分前には寝台に乗りこみました。これまた思いの外少ない見送りと乗客で定刻通り札幌駅を発車しました。発車後、寝台車ではそこまででもなかったですが他の車両では出入りが激しかったようです。追分発車後眠りましたが新得到着時の揺れで目が覚め、十勝清水での最後のまりも行き違いも見る事ができました。上りまりもやホーム上にいた人からフラッシュが幾つか焚かれやはり最後なのだという思いが大きくなりました。
十勝清水発車後また眠りにつき、最後のおはよう放送で目が覚めました。釧路地方の特色である霧が出迎え、新富士発車後最後の車内放送が掛かり、乗換列車案内に続いてまりも運転終了の案内がなされましたが出発後の放送となんら変わらないもので正直物足りないと感じられました。
釧路到着後降りてみると三つの驚きがありました。一つ目は少ない乗客。新札幌や南千歳で降りられた方が多かったと聞きました。二つ目は回送表示でした。最期ぐらい「まりも」として見送りたかったのが正直な気持ちです。霧雨も相まってさびしく感じられました。三つ目は無効印の捺印です。珍しく捺してくれたため乗車券、特急券、寝台券は手元に残っています。記念のオレンジカード等とともに手元に残そうと考えています。
初めての寝台、初めてのさよなら列車、最後の道内発着夜行と一夜にして多くの事を経験することができ、幸運であったと感じています。しかし、また一つ夜明けが消えたことに変わりはありません。非常に残念でなりません。東京にいた時、祖父の危篤を聞いて羽田発の最終便に飛び乗り、南千歳から泣きながらまりもに乗ったこともありました。また札幌での滞在時間を多くするために利用したりもしました。そして眠れぬ夜を過ごし、通り過ぎる灯りを見ていました。夜行列車とは便利且つ必要な存在でした。
昨今は1分単位の遅れでも許さない人が増えているといいます。早く着けば良いという事だそうです。列車での時間は移動の時間であり、旅の時間では無いと考えているのでしょう。そしてそのような人に限って旅情のある旅を知らないと思います。時代の趨勢だとは思いますが、これ以上夜行は無くなってほしくないと思います。
最後に、「まりも」は我々の心の中で未来永劫走り続けるでしょう。ありがとう「まりも」。そしてお疲れ様。