毎年恒例にしている冬休み北海道旅行、今回は久々に北斗星のソロで行こうと決めました。上りの北斗星はここ数年も何度か乗っていますが、下りは10年ぶりくらいでしょうか…。一往復化になって以降ますます取得困難と言われる北斗星の個室、しかも帰省ラッシュピークの12月30日発という事もあり、1ヶ月の長期戦覚悟で寝台券の取得に挑みました。
まず11月29日にえきねっと事前予約で12月30日のはやてを保険でおさえました。そして11月30日の朝7時、最寄り駅みどりの窓口1番乗りで10時打ちをお願いし、夜に結果を聞きに行ったものの、あえなく撃沈…。想定していた事とは言え、やはり一駅では甘すぎました。翌日に会社に出入りしている旅行会社にキャンセル待ちを申し込み、自分は1ヶ月間みどりの窓口で空席確認を試みる。しかしまったく空きが出ないまま残り1週間となったところで旅行会社から「ツインデラックスなら空きが出ましたが」と連絡が…。しかし一人でA寝台2名分の料金を払うのは不可能だったので辞退。反面ここへ来てキャンセルが出やすくなってきたのかとちょっと期待する。ところがその後は何も起きないままキャンセル待ち期限の12月28日を迎え、「残念ながら今回はおとりできませんでした」と旅行会社から終戦の連絡…。みどりの窓口でも連日の「満席です」…。「やっぱり甘かった」と落胆しながら、その夜ははやてでの時刻を調べて準備をしました。しかし12月29日仕事納めの朝。10時頃突然旅行会社から携帯に電話があり「偶然ソロが1室とれましたがどうしますか？」と言われしばし呆然…、次の瞬間我に帰り「確保で！」とお願いし、何とか土壇場でのソロ取得劇となりました。それにしても1ヶ月間疲れた…。
12月30日出発当日は発車1時間前の18時頃に上野駅到着。13番線の上にある弁当屋さんで夕食とビールを買い込む。出発前のこの時間は至福のひと時…。13番線に下りると北斗星が推進運転で入線してきて、あちこちでフラッシュがたかれます。自分も先頭の機関車を撮影しに行き、人だかりの中なんとか写真がとれたところで9号車のソロに乗り込みます。部屋は幸い上段の部屋でした（個室なら上段の方が好きなので）。19時3分になり北斗星はゆっくりと発車。地上に出ると鶯谷駅や日暮里駅の乗客がこちらを見ていて少し優越感に浸ってしまいます。同時に車内放送が始まり「ご乗車ありがとうございます。寝台特急北斗星札幌行きです。停車駅は大宮・宇都宮…函館・森・八雲・長万部…終点札幌です」と山手線を見ながら聞く北海道の駅名に不思議な感覚を覚える。間も無く車掌さんが検察に来てカードキーを受け取り、その後シャワーの予約に行き21時をとりました。部屋に戻るとさっそくビールと弁当で夕食。やがて人でいっぱいの大宮をすぎ利根川を渡り、20時30分頃宇都宮に到着。向かいには日光線が停まっている。「宇都宮線はよく乗るけど日光線には1度も乗った事ないな」などと思っていた頃夕食を食べ終わり、シャワーの時間がきたので6号車に移動。風呂に入ってこれなかった時はやっぱりシャワーはありがたい。さっぱりしてシャワー室から出るとロビーには何やら行列ができている。すぐにパブタイム待ちの行列とわかりましたが、それにしてもすごい並んでいる。自分は個室でのんびりしたかったので行列には加わらず、帰り際に食堂車でサッポロクラシックを1本買い部屋に戻って照明を消し夜景を眺めながら飲んでいると郡山に到着。磐越西線の喜多方行きが停まっている。喜多方と聞いて無性にラーメンが食べたくなるが、おつまみでがまん…。その後福島・仙台と停まり24時をまわったあたりで眠くなってきたので浴衣を着て就寝…。とは言っても自分は寝台車ではいつも眠りが浅く、ちょくちょく起きるのですが…。
途中列車が停まった時に予想通り目が覚め、外を見ると盛岡でした。運転停車のようです。しばらく外を見ているとちらほらと雪が見えるようになってきました。トンネルに入ったところでまた就寝。その後もう1回目が覚めると外はすっかり雪景色でトンネルに入ったり出たり。海峡線のようです。すぐにまた寝てしまったので青函トンネルの記憶が無いまま、やがて朝の案内放送が流れて函館に到着。ちょうど外も明るくなってきました。せっかくなのでEDの写真を撮りに行こうと思って外に出ましたが、寝ぼけていたのか着いたのはすでにDDが連結された五稜郭よりの先頭車。発車時間になってしまいEDはあきらめて車内へ戻る。函館を発車し大沼公園まで登ると一気に雪が増えてきました。ここ数年の暖冬で道南はあまり雪が積もっているイメージが無かったので少々驚く。途中の落部ではスーパー北斗を先に通す為の停車。雪が降る中カメラマンが一人見える。足が雪に埋まって歩きにくそうです。すごい積雪…。長万部を過ぎ室蘭線に入ると雪は止み時折晴れ間が見える曇り空。トンネルの合間に穏やかな太平洋が見えるもののトンネルに入る度に眠くなってしまい、トンネル区間を抜けるまでしばし仮眠…。洞爺・伊達紋別と到着を告げる車内放送が入る度に起きてまた寝るを繰り返し、やがて東室蘭に到着。ここからはずーっと海岸線。青い太平洋と雪のコントラストがとてもきれいで見入っていると登別を経て苫小牧に到着。ここからは海岸線を離れ千歳線に入る。するとまた雪が降ってきて南千歳に到着する頃にはすっかり吹雪に…。南千歳を出ると「次は終点札幌です」の放送が流れる。上野を出てから約16時間、あっという間でした。夜の東京を出て朝起きたら北海道…の北斗星はやっぱり楽しい列車でした。もっと乗っていたいのですが気が付くと苗穂を通過。そして定刻11時15分、北斗星は終点札幌に到着。名残惜しみつつ下車…。
車両の老朽化や北海道新幹線など取り巻く環境は厳しくなってきましたが、やはりこれだけの人気と楽しさがある列車。北斗星にはいつまでも走り続けてほしいと思います。